私の交友録 7.

イヤローン・ガシュースキー

 イヤローンはマンハッタン・トランスファーのミュージックディレクターでありキーボード奏者である。自身もジャズピアニストとして演奏し最近出したCDは60年代、70年代の軽快なリズムの曲で好評を得ている。

数年前に彼とのんびりとブランチをする機会があって、なんで最近の音楽は楽しくないのかという話になり、1960年代70年代の音楽にはアイデンティティーがあったが、今の音楽にはそれがなく、商品化があまりにもえげつなく進み過ぎたんだという見解で大いに盛り上がった。その時に、自分たちが若者になり始めた頃のヒット曲やポップスのサビの部分を次々に歌って愉快なひとときを過ごした。その結果彼がつくったのが最近出したCDである。パコで販売しているので、是非一度聞いてみて頂きたい。

マンハッタン・トランスファーは長い間世界に多くのファンを持っていて、その秘密は女性ボーカルの特殊な歌い方と、あの爺さんの、時に使う低音域の幅広い声、バンドの演奏が出過ぎずにしっかりとサポートしている事が上げられる。彼が選出するバンドメンバーも若く有能で、しかも真面目なミュージシャンで構成されていて、いつ会っても皆気持ちがいい人ばかりである。

私はピアノやキーボードの音質や音色について、インスペクターとしての彼の意見を多いに参考にしている。其れは彼の音に対する見解が偏っていないのと、的確な表現をするスマートさがあるからだ。スタインウェイ、グロトリアン、ベーゼンドルファー、ヤマハの音色の違いを彼は的確に語ることができ、シンセキーボードについてもいろいろと教えてくれる。またジャズにはスタインウェイが適していると彼は言い、ヤマハはやっぱりダメかねと聞くと、最近のヤマハ CX5はバランスがよくどんな曲にもマッチするとのことだ。彼はイタリアのファツィオリ(FAZIOLI)というピアノがイメージングだと言っている。この会社は1981年創立の小さな会社だが、何たってピアノは元々イタリアで最初に作られたので、イタリア人のピアノに対するスピリットは半端ではないだろう。楽器は大きな会社ではいい物は作れない。これが私の信念でもある。ピアノはそれぞれ製造会社のモデルによっても音のバランスや音色が異なるから、自分で弾いて音を確かめて自分に合ったものを選ぶようにするべきだ。楽器はブランドや値段ではなく個体差で当たりはずれがあるので、実際に自分で弾いてみるというのが絶対におすすめだ。

彼とつきあって長いことになるが、ミュ−ジシャンで彼ほど真面目な人間を見た事は無い。写真は彼の可愛い孫娘である。

文 椎野秀聰

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