私の交友録 5.

スティービー・ワンダー

知らない人がいないこのビッグ・ガイは、実に気さくな人間でもあるのだ。
彼は大きなステージで演奏をする前には、スタッフを集めてその大きな手でスタッフ全員と手をつなぎ、円陣を組んでショーの成功を祈願したりする。

いつだったか、彼のショーがさいたまスーパーアリーナであり、彼の為にサングラスを作って持って行った時の事。彼はその時かけていたサングラスをはずして、私が持って行ったものをかけて見せた。このサングラスは、その時若者に大変人気のあった“モンキー・フリップ”というメーカーが私達のオーダーにより作ったオリジナルで、スティービーのグループ全員にプレゼントしたのだ。
アルミで削り出されたデザインのこのサングラスは彼らにとても良く似合ったが、スティービーの顔が予想よりはるかにデカかったため、幅が足りずにやや開きぎみになってしまい彼にはフィットしなかった。
一般的には日本人はデカ面人種であるが、外国人は顔の幅が日本人より狭いし、耳までのリーチも短い。つまり、全体的に頭が小さく前後に長いタイプが普通だが、この巨人は身体同様に頭もデカいのである。

スティービーと一緒に写真を撮ろうとすると、いつも彼は必ずカメラの方を向くので少しは目が見えているのかと思ってしまうのだが、決してそうでは無い。彼の聴覚の鋭敏さがそうさせているのだ。

毎回50人ほどだろうか。彼は障害のある人たちをショーに招待し、公演のあとはどんな会場でもその人たちと握手をしたり話をしたり、優しくコミュニケートする。どんなに疲れていても、いつも人と交わることを欠かさない、人間的に立派なミュージシャンである。

これも彼のショーへ行った時の事だが、演奏が終わり彼の楽屋へ行くと奥さんを紹介された。とても理知的な美人だった。結局、彼を立ててしっかりコントロールしているのは彼女ではないかと思った。内助の功ということだろう。

年々スティービーは身体が大きくなり体調があまり良くない様だが、もう一度健康面でのケアやサポートができればまだまだ良い曲をつくり続けられることだろう。
来日の機会も少しずつ減っているのが気がかりである。

彼の写真に写っている黒メガネの男は、彼のエスコートガードである。

文 椎野秀聰

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